2013年8月 8日 (木)

学級会

8/7(水)
くろいぬケンネルvol.3「学級会」
下北沢 OFF・OFFシアター
作・監修 池谷雅夫 演出 高山和之
田辺千香 安保匠
青木律 池田一開 角北龍 島本修彰 手塚優 廣瀬祐樹 森有里 山崎愛実 吉岡亜沙美 和田清香

2013年7月11日 (木)

ヴァンパイアに咬まれたい

下北ショーGEKI夏祭り2013「ヴァンパイアに咬まれたい」を観る。
下北沢「劇」小劇場

作・演出 羽広克成
吉川亜州香 廣田朱美 菅原泉 竹内美保 山本諭 きくまる 他

1年の殆どを眠り、夏の間だけ目覚めるヴァンパイア母娘。彼女らは、100年前から「契約」している一族に「食事」となる人間を探させ、幾つかのルールを経てその血を吸っている。血を吸われる人間はいずれも何らかの「鬱屈」をかかえており、血を吸われるとその「呪縛」から解き放たれるのだ。

この、「血を吸われると己の呪縛から解放される」というアイデアが秀逸。
なのだが、そのアイデアをちょっと活かしきれてない感もあり。

ヴァンパイアもの、と一括りにしていいのかは別として、こういった類の話の定番は例えば「片方は不老不死で、片方は年をとってしまうカップルの悲恋」とか「恋をした相手の血を吸わねば自分が生き残れないジレンマ」とか「誰にも迷惑かけずに生きてるのに、吸血鬼だとわかると駆逐されてしまう」とかいったパターンではないかと思う。
今回、その手の「定番」は一切なし。定番を避けたという意味ではチャレンジングとも言えるのだが、その定番を一切使わないならなぜヴァンパイアを題材にしたのか、という疑問も残る。

血を吸うにはルールがある、という設定も面白いのだが、一回一回そのルールをきちんと踏まえて行くことでやや「繰り返し」感があるし、なぜそんなルールがあるのかもまったく説明されない。母娘の「止まっている年齢」がずれているという設定もこれまた面白いのだが、「ヴァンパイアになった時点からしばらくは普通に成長する」ということ自体、通常のヴァンパイアものからは外れているのに、その説明も特になし。

総じて言えば「従来のヴァンパイアものを踏襲しない様々な面白いアイデア」が数多く詰め込まれているのだが、広げた風呂敷をたたみきれないまま舞台に載せてしまった、という感じだろうか。もったいない。

2013年6月27日 (木)

死神が舞い降りる街

下町ダニーローズ 第15回公演
演劇らくご 「死神が舞い降りる街」を観る。
於 赤坂RED/THEATER
脚本・演出 立川志らく
立川志らく 相島一之 弥香 モロ師岡 竹本孝之 酒井莉加 暮川彰 ゴンゾー 蛭子能収 ミッキー・カーチス
ゲスト落語家 柳亭市馬

落語の間に演劇が挟まる……いやいや、演劇の間に落語が挟まっているのか?
とにかく「落語」と「落語をベースにした芝居」を交互に見ていく構成。
登場人物の誰かが死神だということで、客席には予想用紙が配られ、舞台の後半にはシンキングタイムが設けられて客が「死神が誰なのか」を予測するという趣向つき。
チラシにも「誰が死神なのか推理しながら見て」と書かれているのだが、しかし残念ながら「誰かが死神だ」という前提自体がストーリーの中に全然出てこない。そして物語は「誰が死神なのか」とはほぼ関係なく進んでいく。だからまあ、言ってみれば「誰が死神なのか」自体どうでもいい。

しかし、芝居よりも間に挟まる落語が秀逸。
立川志らくや柳亭市馬のプロの落語はもちろんだが、相島一之氏が披露する「一人称落語」や、モロ師岡氏の「サラリーマン落語」がいずれも実に面白かった。相島さん、芸風広くて感心。

2013年6月22日 (土)

テレビが一番つまらなくなる日

劇団東京フェスティバル「テレビが一番つまらなくなる日」を観る。
於 下北沢 駅前劇場
脚本・演出 きたむらけんじ
朝倉伸二、飯田基祐、鈴木健介、菊地均也、荒木健太朗(StudioLife)、矢代朝子、俵木藤汰

タイトルは、選挙速報で定時番組が軒並み中止になってしまった日のこと。
間もなく選挙速報が始まるというテレビスタジオ。元テレビ局アナの候補者、ネットカフェ難民から出馬したダークホース、そしてディレクターやプロデューサー、解説者などがそれぞれの思惑で番組の始まりを待っている。そこに、TV局独自の「速報」がもたらされるが、それは大方の予想を覆す内容だった……。

面白かった!
というか他人事に思えない(笑)。
テレビ局の悲哀と正義感、選挙速報の必要性と嘘臭さ、様々な要素をバランスよく混ぜ込み、快調なテンポで運んで見せてくれる。1時間50分、一瞬も見飽きることなく最後まで見られた。
素晴らしい本と、丁寧な演出。出演者も全員好演。

惜しむらくは、情報性が高いあまり「ドラマ性」がやや薄いか。
満載の「へえ」情報は、きたむら氏の取材力の高さを伺わせるが、後半の盛り上がりは主に「事態の解決」にあって、登場人物の内面的葛藤と解決にはあまり重きがおかれていないように思える。だから、面白いのだがそれほど感動はしなかったように思う。だいたい、後から考えると誰が主人公なんだ? 誰に共感すればよかったのだろう?

2013年6月15日 (土)

効率の優先

城山羊の会「効率の優先」を見る。
於 東京芸術劇場 シアターイースト
作・演出 山内ケンジ
鈴木浩介 石橋けい 岡部たかし 岩谷健司 金子岳憲 松本まりか 白石直也 松澤匠 吉田彩乃

面白いらしいと評判には聞いていたが、本当に面白かった!
しかし、「まったく他人に説明できない」類の面白さ。
見ている間に何度も大笑いしたのに、何が面白かったのか説明した途端に面白くなくなってしまいそうな……。ていうか何で笑ったんだろう私。

始まってすぐに、出演者の声量の小ささに驚く。本当に日常会話のよう。だから演技も全体に「リアル志向」。皆ぼそぼそと喋る。
観客も、最初の会話の声量の小ささに驚きつつも、それに合わせて集中力を高めて聞いている。三つ隣りの席で身じろぎする音が聞こえるほどの緊迫感。
なのに、そのリアルな芝居の中にあり得ない非日常空間カットインしてくる。
その匙加減が絶妙なのだ。

この本で、この演出。
針の穴に糸を次々に通していくような繊細な作業を、全員で丁寧に丁寧に積み重ねて初めて成立する本。だから出演する側にも真の力量が問われる。
そして全員が気持ちを一つにして「針の穴をくぐり抜け」続けて、ようやく見えてくる「抜群に面白い」空間。
いやはや、とても真似できない。ていうか怖くてできない。

出演者の殆どは知らない人だったが、皆高度なレベルで好演。(「頑張ってた」とかじゃなく。)
最後にちょっとエロいシーンがあるのだが、それがエロいどころか場内爆笑。
てかあのシーンで爆笑できるくらい客席を誘導し切った演出が本当に凄い。
とにかく、見ないとわからない。城山羊の会、要注目。

2013年6月 8日 (土)

SING!

K.B.S.Project公演『超青春合唱コメディ SING!』を見る。
於 東京芸術劇場 シアターウエスト
作・演出 山口喬司
関義哉(新選組リアン) 秋山莉奈 加藤真央 栞菜 生徒会長金子 鳥越裕貴 芳賀優里亜 長谷川太郎(少年社中) 林野健志 樋口夢祈 三上俊 山川ひろみ
石塚汐花(アイドルカレッジ) 神谷大輔 高山和之(くろいぬパレード) 富田千尋 中川美樹 西山丈也 松浦温生(BIZZARE) ほか

工業高校に転向してきた合唱大好き少年、オトガイ。しかしその学校の合唱部は、自動車部の物置となった部屋を部室に、たった一人が活動している超弱小部。オトガイは、合唱部員を集めようと奮闘するのだが……。

タイトル通り、青春ど真ん中のストーリー。熱血主人公が周りを次々に巻き込んで行く様は既視感ありありだが、それが却って爽やかなほど。細かい笑いも丁寧にまぶされ、実際の合唱コンクールの課題曲なども効果的に使われ、ちょっと長い上演時間も飽きずに楽しめた。
後半のややあざとい展開も、むしろ直球勝負の演技で客席を感動に導いた。お見事。

しかし、この物語には幾つか重大な問題があると思う。
・主人公がなぜ合唱に懸命になっているのかがまったく描かれない。
・従って、合唱の何が素晴らしいのかがわからない。
・その上、肝心の合唱が素晴らしくない。

あと、もう一つ「ええーそれは絶対にだめだろ」という仕掛けがあるのだが、さすがにそれはものすごいネタバレになるので書かない。

主人公は熱血合唱少年なのだが、徹頭徹尾合唱少年だから、何の変化も成長もない。なので、ドラマ性はむしろ集められる生徒たちにあるわけだ。
しかし、彼らがなぜ合唱に加わるのか、そして合唱に加わって何が変わったのかについても「何となく」描かれるだけ。そこを描かないと、肝心の「合唱の素晴らしさ」が全然わからないと思うのだが。

例えば、集められる部員にそれぞれ「声へのコンプレックス」を用意するという手があったと思う。
「声が図太い」ことがコンプレックスの不良。カラオケで歌うと、大抵の歌は音域が合わなくて、からかわれる。でもオトガイから「君の低い声は、バスパートにぴったりだ」と言われ、合唱に参加。
一方、まるでアニメのような声がコンプレックスで不登校になってしまった引きこもり。オトガイは扉越しに彼の声を聞き、彼が女性ヴォーカルのアニメソングを歌うのを聞いて「君のその声が必要だ」と口説く。
(まあ、ベタだけど。例えば、ってことで。)

あるいは、たった一人で合唱部に残っていた部長が「なぜ一人で合唱部にいたのか」をちょっと描くという方法もあったはず。
あるいは、オトガイ君がなぜ転校してきたのか。実は何らかの形で皆をちょっと騙していて、メンバーが集まった後でそれが発覚。せっかく一つになったと思った皆の気持ちが決裂してしまうとか。そこでようやく、オトガイ君がなぜ合唱にこだわるのかがわかるとか。
そういうところをちょっとずつでもきちんと描けば、最後に声を合わせるシーンでもっと見ている側の気持ちが乗ると思うのだ。観客の気持ちさえ高まれば、合唱が上手くないことなんか払拭できたのではないだろうか。

そう、その「合唱が上手くない」ことが本当に残念。
だいたい「合唱大好き」のはずの主人公がちっとも歌が上手くない。というか、合唱っぽい歌い方ではない。
後半で、女の子とアカペラでデュエットする場面があるのだが、とにかく二人が下手で全然感動できない。
いや、いいのですよ下手でも。合唱は上手い下手が全てではないと思うし。
だけど、演出家がまるでこれを「上手い」かのように提示しているところが納得行かない。

台本が「上手いデュエット」を想定して書かれていても、実際の出演者の実力や本番までの時間を見ながらそのデュエットをどう提示するかについて知恵を巡らすのが演出の仕事だと思うのだが、どうやらその仕事は殆どなされないままなのだ。
どのような事情があったのかは知らないが、もう少しやり方があっただろうに。

そして、ライバルとして登場する「常勝合唱部」という設定の女子合唱が、残念なことに大変よろしくないのだ。これはかなり興ざめする。でもそれは、出演者のせいではない。
だいたい、合唱経験者でもない女子を集めて、一ヶ月かそこらの訓練で「日本一を目指している女子高の合唱部」と同じレベルの合唱ができるわけないじゃないですか。
そこは、台本で何とかするとか、演出で何とかするとか、方法があったはずだと思うのです。

つまり、総じて言えば作演出が「考え切れてない」ということなんじゃないかと。
……自戒をこめて。

2013年6月 1日 (土)

蒲田行進曲

インソムニア公演「蒲田行進曲」を見る。
於 下北沢Geki地下Liberty
作 つかこうへい 脚色 古川健(劇団チョコレートケーキ)
日澤雄介(劇団チョコレートケーキ) 長瀬良嗣 佐竹海莉
馬渡直子 ゴブリン串田(太。ちょい) 加藤大輔 大町浩之 八木岳(劇団アニマル王子) 波樹みほ 大村波彦 風間舞子(現代制作舎)

舞台版ではなく、映画版「蒲田行進曲」を基に再構成。小さな舞台に大階段を工夫して再現。
派手な音楽と極端なフェーダー操作で煽る様子や、客席に向いて見栄をきってみせるやり方なども含め、往年のつか作品へのリスペクトに満ちていて気持ちいい。
出演者も皆好演。
ただ、これは言っても詮無いことなのだが、メインの役者が「役柄に見えない」のが残念。
本当に仕方ないといえば仕方ないんだけど。銀ちゃんが大スターに見えないのは、残念ながら役者の格の問題で、こちらの「先入観」もあるわけだし。そして、小夏が、「かつてアイドルだった」ヤスが好きになる女優に見えないのも……まあ……仕方ないといえば……うーむ。
……小夏役の女優さんが自らプロデュースしてる公演ですし……

しかし、とにかく「蒲田行進曲」への愛に満ちた、細部まで気遣いの行き届いた、気持ちのいい舞台ではありました。

2013年5月26日 (日)

稀なる我等の果てなる我家

Dotoo!公演「稀なる我等の果てなる我家〜宇宙ってそこそこ広いんですね〜」を見る。
於 駅前劇場
作・演出 福田卓郎
桜岡あつこ、片平光彦、デ☆ら、青白木タクヤ、逸見宣明、白鳥一輝、平川和宏、桑島真里乃、坂本文子、及川莉乃、石川佳那枝(innerchild)

13年前に地球に不時着した宇宙人たち。今は日本の片隅でリサイクルショップを営みながら、母星との通信再開のためエネルギーの確保に奔走している。だが、到着当時は幼児だった娘にだけはそのことを隠していたため、間も無く迎える16歳の誕生日に真実を打ち明けようと相談する一同。
しかし、見た目も中身も人間と寸分違わない我々が宇宙人であることを、いったいどうやったら娘に信じさせることができるのか…

ヘンダースンのピープルシリーズを彷彿とさせる設定ながら、そこはDotooらしく、決して暗くなることなく「島流しに遭った一味」の悲哀をあくまで明るく描き切っている。
とにかく桑島真里乃が大健闘。大人たちの心を(舞台の上でも下でも)わしづかみなのだ。

ただお話しとしては、「どの」悲哀を描くのか、もう少し絞ってもよかったのではないかと思う。
最近のDotoo作品はどれもちょっと「多牌」な傾向がある。劇団にはそれぞれ様々な事情があるのだとは思うが、企画の初手が面白いだけに少々残念。

2013年5月21日 (火)

アジア温泉

With-つながる演劇・韓国編
「アジア温泉」
を観る。
於 新国立劇場中劇場
作:鄭 義信
翻訳:パク・ヒョンスク
演出:ソン・ジェンチェク

出演:勝村政信 成河 千葉哲也 梅沢昌代 酒向 芳 森下能幸 谷川昭一朗 山中 崇 ちすん 江部北斗 朴 勝哲 キム・ジンテ チョン・テファ ソ・サンウォン キム・ムンシク キム・ジョンヨン カン・ハクス イ・ボンリョン チョン・ジュンテ チョン・エヒョン キム・ユリ キム・シユル

韓国の離島を舞台に、土地を買いに来た日本人兄弟と地元の人々の交流を描く。
演出とセット素晴らしい。
しかしホンにはところどころ「?」なところあり、前半何度か落ちてしまった。後半は迫力あって楽しめたが、「結局何だったの?」という部分が幾つか残った。いや別に全てに解決が必要なわけではないのだが。

韓国語の部分は字幕が出るのだが、字幕の位置が舞台の両端にあって、演技と字幕を同時に見ることができなかったのが残念。

2013年5月 6日 (月)

チョンガンネ

Dステ13th「チョンガンネ〜おいしい人生お届けします」を見る。
於 本多劇場
演出・訳詩・上演台本 中屋敷法仁
和田正人 牧田哲也 橋本汰斗 三津谷亮 近江陽一郎 舞羽美海 黒崎ジュンコ 新良エツ子

徹頭徹尾、パワフルで楽しさ満載のミュージカル。
韓国の小劇場で人気の舞台を翻案したらしいが、本家とはかなりニュアンスが違うらしい。おそらくはキャストの個性に合わせてマイナーチェンジしたのだと思うが、それがピッタリとハマっていた。

演じ手が実に楽しそうで、カーテンコールで出演者の皆が「このカンパニーは(スタッフ・キャスト含め)最高なんです!」と連発していたが本当にそうなんだろうと思えた。お客さんの拍手も暖かく、トリプルカーテンコールまで。(そのカーテンコールが上演時間の中で一番楽しかったのはご愛嬌(笑)。)

演出の中屋敷さんは昨今の小劇場界の演出ではトップランナーの呼び声も高い。
先日「発情ジュリアスシーザー」を見たのだが、その時とはまたかなり違うイメージの舞台だったので、いったいどんな演出風景なのか興味津々。

«脚本を書くための101の習慣